妊娠中考慮すべき生理的変化:妊娠すると、生理的に尿路が拡張し尿が停滞する傾向にあります。腎臓の中の濾過装置を通る血液量は、非妊娠時に比べ50%も増加します。
A. 尿路感染症
1.
無症候性細菌尿(尿中細菌≧105/ml):無症状なのに尿中の細菌が多くなる状態で、妊婦さんの2〜7%と比較的多くみられます。放置すると1/4は膀胱炎や急性腎盂腎炎になります。また無症候性細菌尿の場合、早産率が増加すると言われています。
2.
急性腎盂腎炎:妊婦さんの1%に起こります。子宮が大きくなって妊娠中期以降、左よりも右側によく起こります。
#治療:80%は大腸菌によるものなので、抗生剤の静脈投与で普通速やかに軽快します。軽快しても10日間は治療を続けます。治療抵抗性の場合は腎結石を合併していることがあります。
#妊娠特異的な注意:突然の発熱と疼痛が特徴的なため診断は簡単ですが、急性腎盂腎炎を合併した妊婦さんの15%が菌血症という重症感染症ですので、早急に治療を開始する必要があります。切迫早産治療薬のβ作用薬(ウテメリンという薬が代表的です)を投与されている場合、8%の妊婦は呼吸不全におちいるとされています。
B.尿路結石
尿管結石の場合、特徴的な痛みのため診断は比較的容易です。妊娠中は尿路が拡張しているため結石は自然排泄しやすくなります。しかし、腎結石が合併して尿路感染が持続する妊婦さんの場合はDICという重大な病気を起こす危険があるので注意が必要です。