A.SLE:妊娠によりSLE が悪化するかどうかについては未だに意見が一致していません。最近の見解では、受精時に寛解状態にある場合には悪化が少なくむしろ妊娠が悪化に対し予防的に作用すると言われています。そのため寛解時の計画妊娠が重要です。SLEが産後に悪化することは有名です。
1.妊娠許可条件:寛解期が6ヵ月以上続き、プレドニゾロン10mg/日以下でコントロールされており、腎機能が正常であること。
2.妊娠禁止項目:以下のうち1項目でもあれば妊娠禁止です。
a.高度の腎病変(蛋白尿3g/日以上、GFR<50ml/分、血清クレアチニン>1.5mg/dlのいずれか)、高度の心、肺、中枢神経病変
b.血管障害性皮膚病変
c.抗リン脂質抗体陽性で凝固系異常がある。
d.抗DNA 抗体高値、低補体持続
e.プレドニゾロン20mg/日以上または免疫抑制剤の使用3.SLEの母児に対する影響:流産、死産、発育遅延、早産、妊娠中毒症を起こしやすくなります。
#先天性心ブロック:SLE母体児に多いので有名で、妊婦が抗SSA、抗SSB抗体陽性の場合に多いとされてきましたが、陽性でもブロック例は3%未満しかありません。SLE妊婦に抗SSA、抗SSB抗体をスクリーニングする意義はあまりありません。
#新生児ループス:抗SSA、抗SSB抗体および他の抗体が胎盤を通じて児に移行することにより起こります。有名な病気ですが非常にまれです。4.妊娠中のSLE活動性の評価:補体値低下が病勢悪化に関連するとされてきました。高補体価でも悪化することもありますしSLE妊婦の半数は補体値と病勢に関連がありません。他の血液学的検査と臨床症状で総合的に判断することになります。
B.抗リン脂質抗体症候群:抗リン脂質抗体とはLupus Anticoagulant(LAC)、抗カルジオリピン抗体、生物学的梅毒擬陽性に関わる抗体の総称で、血栓促進因子です。習慣性流産や胎児発育遅延、胎児死亡、妊娠中毒症の原因になります。 SLEの患者さんに陽性の方が多くみられますが、日本人の妊婦の7%に陽性で正常妊娠例でも陽性の方がいます。 妊娠中の治療はヘパリン、アスピリン、副腎皮質ホルモンの投与等です。
C.慢性関節リウマチ:妊娠中は改善することが多く、産後に悪化する傾向にあります。妊娠中あまり問題になりません。