妊娠前検査のすすめ
 普通、一般の健康な女性の多くは妊娠するまで産婦人科を受診することはありません。妊娠して初めて産婦人科を受診し、妊娠の初期にいろいろな検査を受けることになります。妊娠の初期に異常を見つけて十分に対応できる場合もあれば、妊娠前に予防的な対応をとることができる場合もあります。内科の合併症のある方なら妊娠前に産婦人科医のカウンセリングを受けておくと妊娠してからの管理もしやすくなります。高齢で出産する方が増え、少産少子の時代ですから、是非、妊娠前に産婦人科で健康チェックを受けられることをお勧めします。
 妊娠してから産婦人科で行う検査の中で、妊娠前に受けておく方がよいと思われる検査を列挙しました。
 
一般検査

1.

尿一般検査(検尿)
慢性の腎炎や糖尿病がないかどうかを妊娠前にチェックしましょう。慢性の腎炎や糖尿病を妊娠前にみつけて管理しておくと妊娠してからの経過が非常によくなります。

 

2.

血圧測定
血圧の高い方は、妊娠すると重症の妊娠中毒症になりやすくなります。もともと高血圧の方の妊娠管理は非常に難しいので、妊娠前から血圧を管理しておく必要があります。

 

3.

貧血チェック
妊娠すると急激に血液量が増えるので妊婦さんは鉄分が不足しがちになります。妊娠前から鉄欠乏性の貧血がある方は妊娠の早期から貧血が進行しますので、妊娠する前に貧血を治しておきましょう。特に月経血の中にレバーのような固まりが混じる方は月経量が多いので貧血になっている可能性が高く要注意です。

 

4.

血液型チェック
Rhマイナスの方が妊娠した場合は出産後に予防注射(Rhプラスの血に対する抗体ができないようにするための注射です)をしないと次回の妊娠以降で胎児に障害がでる可能性が高くなります。出産だけでなく流産や中絶の後でもRhマイナスの方には予防注射が必要です。最初の流産の時にRhマイナスだということを医師に告げずにいて予防注射をしなかったり、医師が予防注射を忘れたために異常な抗体ができてしまうと、その後ずっと正常な子供ができなくなる可能性があります。

 
感染症検査

1.

クラミジア検
若い女性にはクラミジアという性病が流行しており、地域によっては3〜4人に1人が陽性です。クラミジアが卵管に感染して卵管に炎症が起こると不妊症になることがあります。妊娠前から慢性的にクラミジアにかかっている方の場合はクラミジアのせいで流産や早産になることはあまりないといわれていますが、妊娠してから初めてクラミジアに感染するとまれに流産や早産になることがあります。妊娠前にクラミジアの検査を受けておくと安心です。

 

2.

風疹抗体検査
風疹の予防接種をしていても抗体ができていないことがあります。妊娠初期に風疹にかかると赤ちゃんの耳が聞こえなくなったり、脳や心臓に奇形が生じることがあります。妊娠前に風疹抗体のチェックをして、もし抗体ができていなければ予防接種を受けておきましょう。

 

3.

水痘帯状疱疹ウイルス抗体検査
妊娠の初期、特に妊娠13〜20週位に始めて水痘(水疱瘡)にかかると胎児に奇形が生じるおそれが高くなります。また、お産の直前からお産にかけて水痘にかかると赤ちゃんが先天感染を起こして非常に高率にうまれてすぐに死亡します。水痘にかかったことがあることを確認しておくと、水痘にかかった子供に接しても安心です。水痘帯状疱疹ウイルスの抗体がない人は水痘の可能性のある子供に接してはいけません。

 

4.

サイトメガロウイルス抗体検査
以前は90%以上の妊婦さんがサイトメガロウイルスに対する抗体をもっていたのですが、日本も先進国となり環境がきれいになったせいで、サイトメガロウイルスに対する抗体をもっていない妊婦さんが増えてきました。妊娠中にこのウイルスに感染すると赤ちゃんが難聴になる可能性が高くなります。妊娠初期に感染するといろいろな奇形が起こることがあります。

 

5.

B型肝炎検査
ご主人がB型肝炎の保因者の方は、妊娠前にB型肝炎の検査を受けて下さい。 B型肝炎はキスや性行為によっても感染します。まだB型肝炎にかかっていなければ妊娠前にB型肝炎ワクチンの予防接種を受けておくと感染を予防できます。

 

6.

トキソプラズマ抗体検査
ネコの糞や生肉の中にトキソプラズマという寄生虫がいることがあります。ネコを飼っている人や生肉を扱う人が妊娠の初期にトキソプラズマに感染すると胎児にサイトメガロウイルス感染に似た先天的な異常が起こることがあります。実は、妊娠の初期にトキソプラズマ抗体検査をして抗体の値が高くても一体いつ感染したのかははっきりわかりません。つまり妊娠してから初めてこの検査をしても本当に治療が必要かどうかはよくわからないということです。ネコを飼っている人で妊娠前に既に抗体の値が高くなっている人は先天感染の危険が少ないといわれています。逆に妊娠前の抗体が陰性で妊娠してから抗体が上昇した場合は治療が必要になります。

 
その他の検査

1.

子宮ガン検診
高齢で出産される方が増えてきましたので、妊娠中に子宮ガンの前ガン病変がみつかることも多くなってきました。妊娠前に前ガン状態でみつかれば詳しい検査をすることもできますし、子宮の入り口の悪い部分だけを切除すればその後の妊娠も可能です。

 

2.

超音波検査
妊娠して初めて子宮筋腫や卵巣腫瘍がみつかることがよくあります。

 
まとめ
※すべての方にお勧めする妊娠前検査
 1. 検尿
 2. 血圧測定
 
3. 貧血検査
 4. クラミジア検査
 5. 風疹抗体検査
 6. 水痘帯状疱疹ウイルス抗体検査
 7. サイトメガロウイルス抗体検査
 8. 子宮ガン検診
 9. 超音波検査
※一部の方にお勧めする妊娠前検査
 1. 血液型検査
 2. B型肝炎検査
 3. トキソプラズマ抗体検査
※性病が心配な方にお勧めする妊娠前検査
 1. 梅毒血清反応検査
 
2. エイズ検査

 


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