不妊症
 不妊症に関する一般的な疑問点についての簡単な説明です。不妊症の検査、治療スケジュールやその他の疑問に関しては当院HPの病気の説明やQ&Aコーナーの不妊症のところをご覧下さい。
 
Q. 不妊症とは?
 日本では、結婚後避妊しないでいても2年間妊娠しない場合に不妊症と診断します。アメリカでは1年間妊娠しない状態を不妊症といいます。健康に見えても何らかの不妊因子をもったカップルは10組に1組位いると考えられています。
 
Q. 不妊症は女性と男性のどちらに問題があるのか?
 何らかの不妊症の原因が見つかるのは不妊症カップルの約80%で、その他は原因不明です。80%の原因が特定されたカップルのうち、約50%に男性側の異常(男性因子といいます)がみつかります。男性因子の主なものは精子がないか非常に少ないものです。
 
Q. 男性に原因がある不妊症とは?
 精子の数や質は生活様式によっても影響されます。多量のアルコール、ニコチン、ある種の薬などによって一時的に精子の質が悪くなることがあります。殺虫剤や鉛などの環境因子が精子に影響を与えることもあります。
 精子の産生能力は出生後にかかるさまざまな病気によっても悪影響を受けます。例えば、おたふく風邪、ある種の性病、精巣を損傷するようなけが、精巣腫瘍などです。射精を障害するような病気、例えば、糖尿病、前立腺や尿道の手術、血圧の薬、インポテンスなども男性因子による不妊症の原因になります。
 精索静脈瘤が原因で精子数が減っている場合がよくありますが、静脈瘤を治す手術が非常に効果的です。
 
Q. 女性に原因がある不妊症とは?
 上記の様な男性因子による場合以外の残りの半数は女性側に問題があります。最も多い女性因子は排卵が正常に起こらないことです。排卵が起こらなければ卵子が卵管の中に入ることがないので受精も起こりません。月経不順の程度が強い場合や無月経期間が長い場合には無排卵症という排卵障害の可能性が高くなります。無理なダイエットによる体重減少、精神的ストレス、過度な運動などによって排卵障害がよく起こります。
 また、卵管という精子や卵子の通り道がつまったり動きが悪くなると妊娠しにくくなります。卵管の異常は、骨盤の中に炎症が起こった場合、卵管や卵管周囲の手術、子宮内膜症などが原因で起こります。
 その他、子宮奇形、子宮の中に子宮筋腫やポリープがある場合や子宮内が癒着してくっついている場合などといった子宮の形の異常によって不妊症になることもあります。細菌などの感染防御に働く免疫という機構の異常によって妊娠しにくくなることもあります。
 
Q. 早期に行うべき不妊症の検査とは?
 女性に対しては、まず第一に毎月規則的に排卵が起こっているかどうかを調べます。排卵の有無を確認しその後の治療の参考にするために不妊症の治療中は必ず基礎体温をつけて下さい。超音波検査やホルモン検査、排卵診断薬などを使って排卵の状態を調べます。
 卵管が左右両方ともつまっていると一般的な方法では妊娠できないため、治療の早い段階で子宮卵管造影検査を行います。子宮の入り口から造影剤を入れてレントゲン写真を撮ることによって卵管通過性や子宮の中の形がわかります。
 男性因子の異常の有無をみるためには、まず、精液検査を行って精子の数や運動性を調べます。
 
Q. 不妊症の治療法は?
 検査結果によって治療法が異なります。80〜90%の不妊症の方に薬あるいは手術による治療が必要になります。
 排卵に問題がある場合、まず、クロミッドという排卵誘発剤(のみ薬)を使って排卵を起こします。自然に排卵がある方でも排卵が毎月1〜2週以上遅れる人は卵子の成熟が遅れるために妊娠しにくいことが多いので排卵誘発剤を使います。クロミッドをのんでも排卵しない場合は注射薬によって排卵を起こします。特に注射薬で排卵を誘発した場合にはまれに卵巣が刺激され過ぎて卵巣が腫れたりおなかに水がたまったりすることがあるので注意が必要です。
 ホルモン検査で異常がある場合、たとえばプロラクチンというホルモンが高いと妊娠しにくいのでプロラクチンの値を下げる薬をのむ必要があります。
 卵管や子宮に異常があり、手術によって妊娠しやすくなると判断される場合は手術を行います。おなかの中を腹腔鏡という細い内視鏡で調べて卵管の周囲の癒着をはがしたり、卵管の閉塞部分を開放する手術をすることもよくあります。
 
Q. 人工授精とは?
 人工授精とは精子を子宮の中に直接注入する治療法です。人工授精の対象になる方とは、精子数が少ない乏精子症、精子運動率の低い精子無力症、頚管粘液が非常に少ない場合(頚管粘液が少ないと精子が子宮の中に入りにくくなります)、精子と頚管粘液の間に免疫学的な異常がある場合、不妊期間が長い場合などです。人工授精は排卵日のタイミングに合わせて行います。精液を洗浄濃縮してよい精子だけを集めて子宮内に注入します。
 
Q. 体外受精とは?
 両方の卵管がつまっている場合や長期間のいろいろな不妊治療を行っても妊娠しない場合には体外受精の対象になります。人工授精を7〜8回行っても妊娠しない場合、病院によっては5回の人工授精で妊娠しない場合を体外受精の対象としています。
 体外受精をするためには、まず排卵誘発剤(注射)で卵巣を刺激してから、卵子が十分成熟した時期に卵巣から卵子を取り出します。排卵誘発剤で強力に卵巣を刺激するため多数の卵子が成熟します。腟から超音波検査をして卵巣を観察しながら卵巣に注射針を刺すことによって簡単に卵子を取り出すことが出来ます。卵子と精子を培養皿でしばらく培養して約2日たって受精卵が分割してから多胎を防ぐために最高3個までの受精卵を子宮内に戻します。
 
最後に
 不妊症といっても、体外受精が必要になる程の方は実際には多くても30%前後です。約70%以上の不妊症の方々はクロミッドだけを使った治療や外来で簡単にできる人工授精で妊娠します。結婚後1〜2年たっても妊娠しない場合は、長期間放置せず、簡単な検査だけでも受けてみて下さい。

 


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