A.甲状腺疾患
妊娠中考慮すべき生理的変化:妊娠すると甲状腺は軽く肥大します。ほとんどの妊婦さんの甲状腺機能は妊娠前と変わらず正常範囲内です。
1.バセドウ病:コントロール不良な場合、妊娠中毒症、心不全、早産、発育遅延、死産の危険があります。母体のTSH受容体抗体(TRAb)は胎盤を通過して児に甲状腺機能亢進症を起こすことがあります。また母体の薬剤移行により児に甲状腺機能低下症を起こす可能性があります。いずれの場合にも児の甲状腺がはれることがあります。治療にはメチマゾールという薬に比べて胎盤通過性の少ないプロピルチオウラシルという薬の使用を勧めますが、最近ではどちらを使っても問題ないと言われ始めました。バセドウ病は産褥期に悪化するので要注意です。
2.甲状腺機能低下症:無治療の場合不妊症のことが多く、妊娠しても流産、早産、妊娠中毒症を起こしやすくなります。甲状腺ホルモンを補充して母体異常、胎児脳障害を予防します。
B.下垂体腺腫(プロラクチン産生腫瘍)
直径10mm未満の微小腺腫の場合、妊娠中の増大は少ないので頭痛、視覚異常症状で評価します。プロラクチンは正常妊娠で増加するため妊娠中は測定の意義がありません。直径10mm以上の腺腫の場合は視覚野の試験を追加します。腫瘍増大症状があれば直ちにブロモクリプチンという薬の服用を開始します。