子宮筋腫について
1.子宮筋腫とは:専門的にいうと繊維腫と呼ばれる良性腫瘍です。白くて硬いコブが子宮のあらゆる場所にできます。大きさは1cm足らずのものから赤ん坊の頭位までさまざまで、数も一個しかない場合から数十個あるものまであります。
2.原因:不明です。
3.症状:最も重要な症状は、月経が多いことによる貧血です。貧血が徐々に進行すると自覚できないことがあり、知らないうちに心臓に負担がかかるほどの貧血になっている場合があります。また、大きくなった子宮が膀胱や腸を圧迫するために頻尿や便秘になったり、筋腫の部分が痛くなったり、月経痛が強くなったりすることもあります。若いかたに筋腫ができた場合は、不妊症や流産の原因になることもあります。
4.子宮筋腫があるといわれた場合
a.症状はありますか。
よほど大きなコブができていない限り、症状がなければ急いで治療する必要がないことがほとんどです。ただし、無症状でも貧血が強い場合は治療が必要です。
b.筋腫はどこにできているといわれましたか。
かなり大きなコブでも子宮の外に向かって大きくなる筋腫の場合は症状が出にくいので治療が不要な場合があります。逆に小さくても子宮の内側、特に粘膜に飛び出てくるタイプは月経が多くなるので、早めの治療が必要になります。
c.現在の年齢は?
月経がある間は、子宮筋腫はどんどん大きくなります。しかし閉経を過ぎると筋腫のコブだけでなく子宮自体も小さくなります。筋腫の発育速度には個人差がありますが、あなたがもし女性の平均閉経年齢である50歳に近いならば、手術をせずに様子をみるか、薬物で一時的に筋腫を小さくするという方法もあります。一方、あなたが今後子供を生む予定の年齢ならば、妊娠前に、年に数回産婦人科を受診して下さい。妊娠前に筋腫のコブだけをとる手術が必要な方がまれにいらっしゃいます。また、あなたがまだ40歳前後までの年齢で筋腫がかなり大きく、その発育速度も大きいといわれた場合、早めに手術をされたほうがよいかも知れません。巨大な子宮筋腫でなければ、おなかを切らずに子宮をとる方法があるからです。
5.子宮筋腫の検査
通常は、内診と超音波検査および貧血チェックのための血液検査で十分です。しかし、以下の場合には特別な検査が必要になります。
a.
一見、子宮筋腫にみえるが子宮体癌や子宮肉腫などの悪性病変と区別しにくい場合:MRI検査、子宮内膜検査、子宮鏡、腫瘍マーカー検査などを行います。
b.
子宮の外に飛び出た筋腫か卵巣腫瘍かの区別が困難な場合:MRI検査や腫瘍マーカー検査を行います。
c.
不妊症や流産の治療が必要な場合: MRI検査を行います。
6.実際の治療
薬物療法と手術療法があります。貧血がある場合はまず貧血の治療を行います。
a.薬物療法はどんな場合におこなうか。
・そろそろ閉経のかたで、子宮筋腫が巨大でない場合。
・一時的に筋腫を小さくしておなかを切らずに手術する場合。
・どうしても手術したくないかたの場合。ただし、月経がある間は、薬物治療が終わってしばらくすると筋腫は元の大きさに戻ります。b.子宮筋腫の薬物療法の実際:おなかの皮下に一ヶ月に一度注射をします。これを4〜6カ月間続けると、その間月経が止まり、筋腫も縮小します。
c.手術療法
開腹による子宮摘出:子宮が非常に大きい場合
開腹しない腟式の子宮摘出:子宮が握りこぶし程度の場合
腹腔鏡を併用した腟式の子宮摘出:子宮の大きさが上記の中間の場合
子宮鏡下に粘膜下の筋腫だけを摘出する手術
筋腫を核出する手術(挙児希望の場合)
7.最後に
当院では、できるだけ手術をしたくないかたのご要望にお応えいたします。しかし、重症のかたには手術をお勧めしますので、あまり無理されないように御願いいたします。