A.てんかん:妊娠によって発作が増悪するのは1/4にすぎず、約8割は発作頻度に変化がありません。
1.抗てんかん薬の催奇形性:抗てんかん薬服用者の奇形児出産率は非服用者の2倍で、単剤の服用者より多剤の服用者に奇形児出産が多くみられます。バルプロ酸は神経管閉鎖不全の危険を高めるので服用者には葉酸を補充して頂きます。
2.妊娠中の抗てんかん薬代謝:妊娠すると肝臓での代謝増加により抗てんかん薬の血中濃度は低下しますが遊離型の薬が増加するために相殺されます。このため妊娠中は薬物血中濃度を測定する必要はありません。
3.治療方針:妊娠初期は、胎児への影響を考え、抗てんかん薬服用量を減らすように努力します。しかし発作がコントロールされていない場合は妊娠中に減らさない方が賢明です。薬物の副作用として児のビタミンK依存性凝固因子が欠乏するので、出血予防目的に出産前の母体および生後早期の児に対しビタミンKを投与します。
B.偏頭痛:妊娠中劇的に軽快することが多くみられます。非妊娠時によく使われるエルゴタミン製剤は子宮収縮作用があるので妊娠中は使用禁止です。
C.精神分裂病:妊娠中は薬剤による催奇形性よりも症状再燃による危険を重視した治療を行います。
D.気分(感情)障害:妊娠初期は、胎児への影響を考え、できるだけ薬物を中止します。特にリチウムはEbstein型の心奇形を起こすので有名で、最近では従来考えられたほど高率ではないとされていますが妊娠初期の使用は避けるべきです。